嘆きの天使 Der blaue Engel (1930)

当時まだほとんど無名の女優だったマレーネ・ディートリッヒの、うっとりするような脚線美を世界に知らしめたのが、「嘆きの天使」。

ドイツ初のトーキー映画と言われる本作の監督は、ジョセフ・フォン・スタンバーグ。

新世紀となり、近代文化が花開くドイツを舞台に、ディートリッヒが演じるのは、少々いかがわしい匂いのたちこめる歌劇団の歌姫ローラ。

その退廃的な美貌と、意外と世話女房的な性格に惹かれた、高校で教鞭をとるお堅い教授が身を持ち崩してしまい、哀れな最期を遂げる悲劇なのですが、話の筋はそっちのけで、とにかく当時29歳だったマレーネ・ディートリッヒの魅力に耽溺できる映画です。

 

歌劇団の歌姫ということで、実際にディートリッヒ本人が本作中で何曲も歌っているのですが、その中でも一番有名なのが、「頭からつま先まで愛でいっぱい Ich bin von Kopf bis Fuß auf Liebe eingestellt (英語版タイトル Fall in love again のほうが有名かもしれません。淀長先生も、英語の歌詞で解説されているようですね)」。スチール写真などで有名な、椅子に軽く腰掛け、惜しげもなく足を見せびらかしながら妖艶に歌う姿で、一躍スターダムにのしあがったディートリッヒ。

他にも、"私はいかしたローラ Ich bin die fesche Lola" "さあ、今夜はいい人を選ぶよ Kinder, heut abend,da such ich mir was aus" など、シャンソン作曲家フリードリッヒ・ホレンダー(Friedrich Hollaender) の手になるノリのいい曲を歌い踊って、ファム・ファタルの地位を獲得しました。

 


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