「バチカンで逢いましょう」 Omamamia (2012)

「バグダッド・カフェ」のマリアンネ・ゼーゲブレヒト主演、

ローマを舞台にした、女系3世代の心温まるファミリー・ドラマ。

 

ドイツ人の夫とともに、カナダに移住した敬虔なカトリック教徒、

通称オーマ(独語で「おばあちゃん」の意)こと本名マルガレーテは、

いつかバチカンに行って法王に会うのが夢。

 

人生の中でただ一度犯した大きな罪を、法王に告解したいのに、

一人娘のマリーはわかってくれない。

自分が家族に対して全責任を負っているかのようにふるまい、

オーマを老人ホームに入れようと考えるマリーに反発して、

オーマは一人ローマへと向かう。

ローマには、マリーの長女、オーマにとっては孫娘の

マルティナが留学しているので、彼女のアパートにまず到着。

 

ところが、まじめに勉学に励んでいるはずのマルティナは、

ロック歌手と同棲し、夜はクラブでウエイトレスをしている始末。

 

法王に会いにバチカンへ行けば、そこでは盲人を装った詐欺師ロレンツォに

まんまと騙されて、自分の謁見の順番を譲ってしまったり、

ローマ市内のババリアン・レストランでは、本物とは似ても似つかない

ウイーナー・シュニッツェルを食べさせられたりと、

さんざんな思いをしながらも、オーマは徐々にローマの町に馴染んでいく。

 

そこへ、カナダから母親と娘の様子を心配したマリーがやってきて、

事態は思わぬ方向へ展開していく・・・

 

オーマ役のマリアンネ・ゼーゲブレヒトの、なんともタフな行動力にまず脱帽。

好奇心も旺盛で、行く先々で、なぜか人々の懐に入り込んでしまうところは、

「バグダット・カフェ」と同じ展開なのね。

周りの人が振り回されて、「マンマ・ミーア(イタリア語で、なんてこった! 

という驚きを表す)」ならぬ「オーマンマ・ミーア(主人公の通称オーマ + マンマ となって、上記の表現をさらに強調 )」と嘆きつつも憎めない、

っていうのがポイントでしょうか。

 

ローマのババリアン・レストランでまずい料理を食べさせられたら、

厨房にずかずか入り込んで、自分で本場のシュニッツェル作っちゃって、

その料理の腕を見込んだ、伊独混血のレストラン・オーナーに雇われて、

バイエルンの伝統衣装ディアンドルを着込んで、レストランを切り盛りしたり、

孫娘の働くディスコに繰り出して、朝まで踊り明かしたり、

あげくの果ては、バチカンでの合同結婚式にまで参加するはめになったりと、

バイタリティあふれる活躍ぶりには脱帽です。

 

そんなオーマの魅力にじょじょに惹かれていく、

ジェントルでおしゃれ、いかにもイタリアンな老詐欺師ロレンツォ役を、

イタリアの名優ジャンカルロ・ジャンニーニが演じています。

 

家族に対する責任感いっぱいで、時にそれが空回りしてしまう

娘のマリーを演じているのは、ちょっとちんくしゃ気味のお鼻がかわいい

アネッテ・フリアー。

ドイツではひところ、土曜の夜のTVコメディ・ショーなどに登場し、

お色気あふれるロシアのおねえさん役などの印象が強かったので、

コメディ出身の女優さんかと思っていたら、あにはからず、

大学の演劇科出身の正統派女優さんなんですね。

 

孫娘役のミリアム・シュタインは、

25歳の若さながら、映画のキャリアは14年というベテラン。

劇中では、ディスコでプレイする恋人にステージ上に呼ばれ、

Perfection というしっとりとしたバラードを歌うシーンもあり。

透明感あふれる歌声が素敵です。

 

ちなみに、このPerfection という曲を演じているのは、

ミュンヘン出身のバンド、Helen Was Here らしいのですね。

先月も市内のライブハウスに出演していたみたい。

アマゾン・ドイツでぜひ聴いてみてください。

 ↓


 

全編を通して、そのほかの音楽も素敵。

特に、物語終盤でかかる、イタリアのインテリ・シニア・シンガーソングライター、

パオロ・コンテの"Via con me" の、渋い歌声にしびれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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